もっPです
(前回の続きです)
あれは2002年、真夏のこと。
お母ちゃんの病名は
大腸ガンでした。
お母ちゃんは、お父ちゃんに
携帯メールで診断結果を知らせました。
そして、お父ちゃんは出張から
帰ってくるなり怒鳴り声で
「庭イジリばっかりしているから、
枝がケツに刺さって“痔”になるんだよ!!」
お母ちゃんも我々も、そして子供達も
お父ちゃんが何を言っているのか
理解できませんでした。
たまらずお母ちゃんは
「何を言っているの? 誰が“痔”なの?
“癌”でしょ“ガン”!!」
お父ちゃんは我に帰り、唖然…
しばらくして
お父ちゃんとお母ちゃんのやりとり…
お父ちゃん「??? “癌”? 誰が?」
お母ちゃん「私でしょ!!」
お父ちゃん「メールで“痔”って書いてたじゃん!!」
お母ちゃんは、お父ちゃんから携帯を取り上げ
お母ちゃん「これのどこが“痔”なの!?
“癌”って書いてあるじゃない!!!!」
そこでやっと理解できました。
お父ちゃんは“癌”という漢字を
“痔”と読み違えていたのです。
お父ちゃん「普通、“癌”という言葉は
カタカナで書くだろうが!!」
と全員が大爆笑!!
お母ちゃんが大腸ガンと診断された日に
家族揃って大爆笑
しかし、みんなの笑顔が続くわけはなく
長い長い沈黙がやってきました。
お母ちゃんはすでに
何事も無かったかのように
夕食の準備に追われています。
しばらくすると、お父ちゃんは手術日に会社を
休めるよう仕事先に連絡を入れ始めていました。
電話連絡が終わると
お父ちゃんは深いため息をつき晩酌を始めました。
そして…
「なんで…、なんで今なの。
なんで…ウチの女房なんだよ…」
と独り言の様に呟きます。
午後10時
私たち取材陣はこの日の取材を終え
撮影クルーは撤収に取り掛かりました。
最後に、私が「明日も取材に来ますので…」と伝え
あいさつをして玄関を出た直後
お父ちゃんから呼び止められました。
「澤本さん!!これからも取材するの?
出来れば…撮影はやめてほしいんだけど・・」
それは、石田さんチの取材を開始して
初めて取材を拒否された瞬間でした。
(つづく)
もっPでした
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